kintoneで予実の確認をリアルタイムに!

みなさんこんにちは。東京では桜が終わり、そろそろキャンプに出掛けたくてうずうずしているEraです。
今回は、先月cybozu.com developer networkに掲載された経費精算システムパッケージのサンプルをご紹介します。

予算を使いたいとき、どうやって残予算を確認していますか?

サイボウズでは、毎月経理から各本部に予実の集計結果が配られます。この資料を使って前月末時点での予実状況はわかるのですが、月の途中で当月の残予算を確認しようとすると経理に個別にお願いするか、提出された支払申請や事前費用申請などを調べて手計算しなければなりません。
これでは予実の状況をさっと確認できなくて不便です。そこで、kintoneを使ってリアルタイムに実績を集計するサンプルアプリを作りました。

経費精算システムパッケージは、下の図のような構成になっています。
簡単に説明すると、「予算と実績の情報を登録する『予実マスタ』に対して、各種申請アプリから承認された実績金額を集計して登録する仕組み」です。


関連図.png
各アプリの詳細は、cybozu.com developer networkに説明を記載していますのでご覧ください。

細かい機能がいろいろありますが、ここではポイントとなる以下の3点絞ってご紹介します!
①リアルタイムに実績を集計できる
②部署単位で年間の予実を一覧できる
③実績金額の明細をワンクリックで確認できる

申請が承認されたタイミングで実績を自動集計する

この経費精算システムのポイントの一つは、実績金額の「リアルタイム」集計です。

例えばお客様の支店開設のお祝いでお花を贈った場合、下の図のようにお花代を『支払/立替申請アプリ』に登録し、kintoneのプロセス管理で承認依頼をします。


【支払/立替申請】
支払申請.png

そして上司が確認し、プロセス管理のステータスを承認済にすると、お花代は営業部の4月の交際費予算の実績として集計され、『予実マスタ』に登録されます。

【予実マスタ】

実績変化.png

4月の実績が「8,000」からお花代の税抜金額の「25,925」を足した「33,925」になりました。
このように、経費精算が発生するたびに申請する運用にすれば、いつでもほぼ最新の予実差異を把握することができるようになります!

1年分の予算と実績は一つのビューで俯瞰したい

サンプルの『予実マスタ』アプリでは、ひとつの予算の12か月分を1レコードで管理しています。そのためkintoneの一覧で予実を表示しようとすると下の図のようになります。

【営業本部 2016年度 予実一覧】
kintone予実一覧.png

これでは、予算と実績、その差異が横に並んでしまってわかりにくいですね。そこで、Handsontableを使ってビューを作りました。これが二つ目のポイントです。

Handsontableを使うと以下の通り、部署単位で1年分の各予算と実績を見やすく表示できました!

【営業本部 2016年度 予実一覧(カスタマイズビュー)】
営業予実一覧②.png

Handsontableは、Excelのような画面で閲覧したり編集したりしたい場合にとても便利です。Cybozu CDNで公開されており、使い方やプラグインについては記事になっているので是非試してみてください!
Handsontableを使ってkintoneをExcelライクに入力しよう その1
Handsontableを使ってkintoneをExcelライクに入力しよう その2
kintone スプレッドシートプラグイン

実績金額からドリルダウンして明細を確認

最後に三つ目のポイントです。実績データを確認する時、何に使ってこの合計金額になったのか確認したくなることがありますよね?実は、予実一覧から簡単に明細を確認できるようになっています!
背景が黄色の実績数字をクリックすると・・・・


実績明細.png

このように、ポップアップで集計された申請の一覧を表示します。更に明細の行をクリックすると申請のレコード詳細画面を開く仕組みになっているので、申請時に承認者とやり取りしたコメントから経緯を簡単に追えて便利です。

おわりに

さて、ここまで経費精算システムパッケージのアピールポイントをご紹介してきました。
が、よくある話で(?)うまい話には裏があるのです。。。

このサンプルをベースに実運用するものを作る場合には、いくつか注意事項があります。

まずは、悪意また不注意により申請金額を変更できてしまう問題がふたつあります。
ひとつ目は、kintoneの変更履歴を使った場合の問題点です。この機能は、レコードごとに誰がいつどうデータ変更をしたか確認し、場合によっては過去のバージョンにデータを戻すことができます。
サンプルアプリでは、申請の承認後に過去のバージョンに戻すと、承認された金額と異なる金額に変更される可能性があります。
変更履歴の機能を無効にするなどの回避策が必要です。
もうひとつは、REST APIを直接叩くことで金額を操作することができてしまう問題です。この問題点に関しては、運用が変わったり自動集計などのメリットを犠牲にする可能性がありますが、回避策をdevelopwer networkに記載しております。

その他に、本サンプルではPC画面のみで使用できるAPIを使用しているため、モバイルからの操作ではJavaScriptが無効になります。例えば、モバイルビューで申請の承認を行った場合は自動集計できません。
これに対しても、モバイルからもPCビューを使う運用など回避策が必要です。

サイボウズ社内では、統制上の問題からサンプルアプリを社内の経費精算システムとして採用できませんでした。。。

トホホな結末となりましたが、他の業務アプリを作るときの参考にもなると思いますので、ぜひ一度サンプルをお試しいただきソースコードもご参考にしていただければと思います。


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