後継ぎ経営者向けイベント 第2回アトツギカイギ 開催レポート
「アトツギカイギ」は後継ぎ経営者が抱える特有の課題について「サイボウズ製品の活用」を軸に議論をすることで、新しい気付きを得たり、知見を深めるためのイベントです。
第2回目のアトツギカイギを2021年4月27日(火)にオンライン形式で開催しました。
今回の参加者
サイボウズとユーザー様間での、様々な情報共有や活動を通して、共に成長できる関係を目指すハドルパートナー制度。
今回は、同制度に参加いただいている東北コピー販売株式会社 代表取締役社長 高橋剛様(kintoneユーザー)にご登壇いただきました。
交流会には、事業承継に際し情報収集をしている後継ぎ経営者14社にご参加いただきました。
東北コピー販売株式会社 高橋 剛 様の発表
仕事を「楽」にしたいを「楽しく」に変える
業務改善を通して見えてきたありたい姿
東北コピー販売株式会社 代表取締役社長 高橋 剛氏
親の引いたレールを歩くのが嫌だった2代目経営者
東北コピー販売株式会社は、1980年に高橋氏のお父様が創立された会社です。コピー機の販売をはじめ、ICT関連商品・オフィス環境改善提案・業務改善コンサルティングを手掛けています。拠点は福島県、従業員は15名です。
高橋氏はテコンドーの元日本代表の経験を持つアスリート経営者です。現役を引退後、2015年に代替わりで同社に入社し、2021年は社長として7期目をむかえました。
高橋氏は入社当初「親の七光りをうけ、父親が引いてくれたレールを歩くのは嫌だ」と考えていましたが、先代社長のご友人にこの考えを否定されます。その方が教えてくれたのは「そもそもお客様とパートナーがいるからこそ事業が成り立っている。七光りというものがあるのなら、その光はお客様から発せられたもののはず。今度はあなたが彼らの課題を照らし、それを解決することで恩返しをしなさい。」ということでした。
この言葉が腹落ちした高橋氏は、後継ぎとして頑張ろうという気持ちになり、どうせやるなら皆がイキイキと働いてくれるような職場を作ろうと決めました。
仕事に追われたことで業務改善を決意
最初はコピー機を販売するシンプルな業務内容でしたが、ネットワークの進化とともに取扱商品が増え、万単位の商品コードを扱うほどに商品点数が増えました。次第に業務工数が増え仕事に追われはじめます。
最初は「お客様の課題を解決するぞ!」と意気込んだ高橋氏でしたが、先に自分たちの課題を解決しなければならない状況に陥りました。追い込まれて悟ったのは「仕事を楽に、少しでも余裕がある時間がある状態」に改善が必要ということでした。
そんな高橋氏が仕事を楽にするために取り組んだ業務改善策は3つあります。
1つ目は紙文化からの脱却です。「紙を売っている会社」だから紙の長所も短所も十分に理解しています。紙はストック型の情報共有が苦手で検索性が低いため、社内では情報をデータ化し皆で共有できるようにしました。
2つ目はコストの削減です。まずは現状のコストを見える化し、コスト意識を持とうと話し合いました。
3つ目はクラウドファーストです。サイボウズは最初はオンプレミスのサーバー版を利用していましたがクラウド版に変更しました。東日本大震災の経験から、BCP対策という意味で、何があっても問題ないという環境を作らなければと思ったからです。
全業務のクラウド化で「楽になった」と社員も満足
↑kintoneで作った業務システムの相関図
同社のクラウド化の中心はkintoneです。顧客管理を中心に据えた仕組みになっており、ほとんどの業務が自動化されています。
営業と管理部門の入力作業はとても楽になり、時間も生み出せました。人事考課・有休申請など、全部サイボウズ製品でやっていることから、色々なアプリケーションを立ち上げて仕事をする必要もありません。
今では会社にあるサーバーは一台だけで、残りのデータは全てクラウド上にあります。
高橋氏は年々仕組みを強化しており、2021年には「応対力for kintone」というCTIシステムを構築しました。CTIはお客様から受電すると関連顧客のデータがポップアップ表示される便利なシステムです。これでお客様への対応スピードは格段にあがりました。
今ではどこにいても仕事ができるようになり、仕事が楽になったと社員は満足しています。
お客様の課題を照らす「七光り」になろう
「今度はお客様を楽にする番だ!」と意気込んだのも束の間。なぜかお客様と話が噛み合いません。顧客情報はkintoneアプリで完璧に整理整頓されているのだから、お客様との商談ももっと上手くいってもいいはずでした。このことで高橋氏が気づいたのは、自分たちが整理していたのは「お客様のコピー機の利用状況だけ」だったということです。客先でしていたのはコピー機の説明だけだったので、東北コピー販売はあくまでコピー屋さんであり、会社の課題を解決するパートナーにはなれていないのでした。ここで「七光り」という言葉が頭に浮かびます。お客様が困っていることに光を当てそれを解決しようと、社長になった時に決意したことを思いだしたのです。
自社の業務改善の取り組みがお客様にウケた!
高橋氏は常日頃から社員に成長を促していたのですが、お客様との噛み合わないやり取りを経て「成長するには、まずは自分たちの考え方や営業方法などを変えていく必要があり、それなしでは成長できない」と気付かされたと言います。
ここから会社で取り組んだのは、お客様が感じている困りごとや問題をしっかりと把握することでした。
お客様のお話をじっくりうかがったうえで自社の業務改善の取り組みをお話すると、お客様は少しずつ心を開いてくれ、営業に色々な話をしてくれるようになりました。
今ではお客様の経営陣と同社が一緒になって課題の解決策を考え、それまで取引がなかった分野でも提案ができるようになったのです。
この経験は社員に「私たちはお客様のお役に立てるのだ」という自信をもたらしました。社員に変化を求めた結果、会社の業績に貢献をしてくれる良い流れが生まれたのでした。
仕事を楽しく、みんなをHappyにした業務改善
高橋氏は社員を「楽に」してあげたいという気持ちで経営者としてのスタートを切り、業務改善に取り組みました。その効果は「仕事がラクになる」だけではありませんでした。お客様の課題を手に手を取り合って解決できるようになったことで、営業担当は「仕事は楽しい!」と感じるようになったのです。
お客様が喜んでくださる提案をすることと商品やサービスの導入はセットです。同社の業務改善は、巡り巡って同社のパートナー企業もハッピーにしました。七光りでお客様に光を当てしっかり恩返しをしたい。
高橋氏は今、会社を継いだ時の想いに少しずつ近づいていると感じています。
質疑応答
高橋氏の「kintoneによる業務システムの全体像」に衝撃を受けた参加者が多く、kintoneの開発に関する質問が多数寄せられました。
Q:サイボウズ Officeとkintoneの違いをどう感じていますか?
A:kintoneは他のシステムとの連携がスムーズなので、色々な構想を実行できます。
Q:kintoneは高橋さんが自ら開発しているのでしょうか?
A:はい、ほぼ自分でやりました。今も毎日何らかの改造を行っています。
Q:kintoneとCTIのシステムの連携など、難しい処理を行うための情報源を教えてください
A:一生懸命改造していると色々な情報が自然と入ってきます。またCTIは検索などで能動的に情報を探しました。直接サイボウズの社員の方や、知っている方に聞くこともあります。
まとめ
第2回目の「アトツギカイギ」。参加者は「ITツールの活用や業務改善によって会社の風土改革ができた」点に感銘を受けておられました。ブレイクアウトセッションでは参加者が5〜6人のグループに別れ、それぞれが自社の取り組みを少しずつ発表。
kintoneやサイボウズ Officeの具体的な使い方が多数登場し「なるほどその手があったのか!」とお互いに大きな気付きを得ておられました。熱心な意見交換のおかげで有意義な会になりました。ありがとうございました。
アトツギカイギについてもっと知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。
▼ サイボウズ アトツギカイギ