「地域を元気にするアプリをつくろう」カレッジリンク・プログラム 参加レポート

~地方創生・NPOプロジェクトに興味ある人必見!~

はじめまして、Eraです。普段はkintoneの業務系アプリの提案やサンプル作成などを行っています。
kintoneアプリ作成サポート役として千葉大学のプログラムに参加してきましたので、アプリの紹介を含めて報告します。

2015年の年末から2016年の年始にかけて「カレッジリンク・プログラム千葉: 地域を元気にするアプリをつくろう」というコースが千葉大学で開催されました。このコースでは、千葉大学とサイボウズのコラボレーション企画として、kintoneを用いて地域の悩みを解決するアプリを作りました。

カレッジリンク・プログラムとは?

突然ですが、カレッジリンク・プログラムという言葉をご存知でしょうか。
カレッジリンク・プログラムとは、大学(カレッジ)と地域社会が組織的に連携(リンク)し、年齢に関わらず地域の誰もが大学で学生と一緒に学びあう機会を創出する新しい学習プログラムです。(出展:https://www.coc.chiba-u.jp/college-link2015-2/
「年齢に関わらず地域の誰もが大学で学生と一緒に学びあう機会」ということで、今回のコースも学生7名と社会人12名が毎回チームを作って共に学びました。10代の学生から70代の方まで職業も性別も様々な受講者が、活発に意見を出し合いながら課題に取り組む様子にワクワクしました。
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全5回の講義概要とkintoneアプリ紹介

第1回 ガイダンスとkintoneの使い方

ガイダンスと受講者の自己紹介に続いて、後半にはcybozuの佐藤が「はじめてのkintoneガイドブック」を用いたハンズオンを行いました。

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ハンズオンの様子です。テキストに沿って全員で同じアプリを作りました。

私は参加者の席を廻りながら個別にサポートをしました。kintoneを全く知らない人がほとんどだったものの、最後には全員がkintoneの基本的な操作を習得できていたと思います。
何人かの受講者から、「こういうことはできないの?」「こんなことしたいけどどうしたらいい?」という質問を受けました。身の回りの課題をkintoneで解決できるのではないか、というイメージを持っていただけたのが嬉しかったです。


第2回 地域のNPOの課題に応える

NPO法人「子ども劇場千葉県センター」の理事をゲストとしてお招きし、活動内容とkintoneで解決して欲しい課題についてお話しいただきました。
ワークショップでは3つのチームに分かれて課題取り組みました。
主な課題
・NPOの活動を支える支援者情報の一元管理
・「子ども劇場千葉県センター」に加盟している団体との情報共有

解決策として作られたアプリ例
・寄付を含む支援内容を管理するアプリ
・支援者を増やす活動をするための情報を管理するアプリ
・事務局の業務工程を管理して誰でも漏れなく業務を行うためのアプリ

アプリ例

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第3回 街をまるごと大学キャンパスにする

市民の生涯学習意欲の高まり、大学には社会/地域貢献が求められるようになっていること、空き家や空き店舗、遊休公共施設の増加などを受けて、「まるごと大学キャンパスの街」という事業計画を立てる、という課題に取り組みました。

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鈴木教授から、「まるごと大学キャンパスの街」の説明を受けています。その他、場所をどうするか、対象者や講師、収支や運営体制など、検討ポイントがいくつか提示されました。
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検討結果の発表の様子。この後、提案に必要なkintoneアプリを作成します。
テーマごとに数回の講義で1単位とする講義を提案したチーム、4年間で完結する授業で毎年1年生を募集し継続性を重視したチームなど、各チーム異なる視点で課題に取り組んでいました。

課題
・街をまるごと大学キャンパスにする

解決策として作られたアプリ例
・講師や受講者の履歴を管理するアプリ(マスタ)
・論文を管理するファイル(ファイル管理)
・フィールドワークの進捗を管理するアプリ(講義の内容の一部として使うもの)


アプリ例

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第4回 新しい観光ビジネスをつくる

ゲストとして地球のしごと大學の代表高浜さんをお招きし、自然と共生するしごとの在り方、都市と田舎の現状などのお話を通して課題解決のヒントいただきました。
課題
・観光会社のアントレプレナーとなり、学生をターゲットに新しい観光ビジネスをつくる

解決策として作られたアプリ例
・自転車の貸出を管理するアプリ
・観光ルートを自分で作成するアプリ
・短期アルバイト、体験、民泊などの情報を提供するアプリ

アプリ例
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ターゲットが学生ということで、各チームお金のかからない仕組み検討していました。具体的には、人手不足の田舎に民泊し、作業の手伝い体験をする体験型旅行、アルバイトで旅費を増やしつつ旅をするプラン、移動に自転車を使うプランといった提案がなされました。
アプリとしては、IoTを想定したものが登場したり、利用者もデータにアクセスする仕組みを考えるなど利用範囲が広がりました。

第5回 地方への移住を事業化

最終回は、千葉県いすみ市で行政とともに移住・定住促進をキーワードに活動しているNPO法人「いすみライフスタイル研究所」の方々にお越しいただき、その活動について伺いました。
当日の様子は、「いすみライフスタイル研究所」スタッフブログに詳しく掲載されています。是非ご覧ください。
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課題
・kintoneを活用した地方への移住を事業化する

解決策として作られたアプリ例
・スペースにまとめられた、生活に必要な情報を提供するアプリ
・体験できる仕事や、お試しで宿泊できる空民家を管理するアプリ

アプリ例
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自分が移住や定住をしようとした時に何か課題になるか?というところから議論を始め、生活に必要な情報が手に入らないと生活しにくいという観点から情報提供の仕組みメインにしたチーム、仕事がないと定住できないという観点からお試し滞在の仕組みをメインにしたチームなど、最終回も様々な企画が出ました。
5回目になるとkintoneにも慣れ、スペースを使うなどコミュニケーション部分も利用するチームが出てきました。

そして最終回の最後には、社会人受講者を対象に修了証書の授与式がありました。一人ひとり手渡され、皆さんとても嬉しそうでした。ちなみに学部生さんたちは単位がもらえるそうです。
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まとめ

毎回、実際に事業化できるようなアイディアが生まれ、いろいろな切り口でアプリが作成されました。
回を追うごとにkintoneのスキルがぐんぐん上がり、最初の頃の質問は操作に関するものが多かったのですが、だんだんと実現させたい機能をkintoneで作れるかどうかといったような質問に変わりました。どんな質問が飛び出すか毎回ドキドキしましたが、やりたいことをヒアリングしつつ一緒に工夫しながら実装方法を考えるのはとても楽しい経験でした。
今回のプログラムをとおしてkintoneは誰にでも簡単にアプリが作れるということを改めて実感しました。そしてNPO法人の活動、地方活性化の現場では、様々な立場の人が日々試行錯誤しているので、システムも簡単かつ柔軟である必要があり、kintoneは適していると感じました。